クルーズフェリー進水式

4月3日 朝9時、呉市川尻の造船所で、新しい時代の息吹を感じさせる進水式がありました。

この船は瀬戸内海の新しいクルーズフェリーで、広島、呉 松山航路に今夏就航予定です。

今回は自分にとって、先月の22日に続き2回目の進水式となります。場所も同じところです。船台が左隣の第1船台に変わっている丈です。前のブログ、初めての進水式の中に、横の第2船台で建造している船の写真も掲載しておりますので、併せて参照ください。


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◎1000総トンに満たない船ですが話題性が豊富な為、後で聞いたのですが300人と言う沢山のお客さんが集まったそうです。他に報道関係の方々、空にはヘリコプターと大変大盛況の中で進水式が執り行われました。大型観光バスも2台来ていましたよ。前回とは大変な違いです。

進水前に、船尾上空にドローンが飛来しました。社員の方が操縦しています。進水時着水する部分の確認作業用と思われます。尚、後ろの貨物船は3月22日に進水した船で、今艤装埠頭に係留され艤装中でした。


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同じく進水式式典の餅まき行事の光景です。この後、斧によるロープカットが行われ、9時過ぎに進水しました。


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今回の進水式、何故話題性が有ったのか、ですが、今の航路に就航している船は船齢が既に30年程に達していて、代替船が必要で有った事があげられます。今回の“シーパセオ“は現在就航中の”石手川”(1987年3月就航、約700総トン)の後継船となるそうです。
でも、それ丈では大した話題性にはなりません。


◎この30年の間に、航路の性格が大きく様変わりしたと言えるでしょう。
元々、クルーズフェリーとは称していましたが、船内は旧態依然とした座席と畳の大部屋、と言った構成の船でした。

中国新聞、呉版でもこの進水式の模様はカラーで大きく取り上げられていました。後部デッキには円形の屋上デッキが設けられ、外国の人が好むデッキプランになっていると書かれています。

進水直前、船尾部の下から見上げた円形デッキです。


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瀬戸内海汽船のパンフレットにある完成予想図です。

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確かに、日本人の多くは、船旅の時間の過ごし方としてはごろ寝が一番と考えているみたいで、この点寂しい感は否めません。
瀬戸内海が世界で認知された多島美を誇る海であることを誇りに思う人が少ないようです。

他方、船旅は金持ちで時間に余裕がある人丈の為、と言う認識は我々団塊の世代共通の宿命でしょうか?
でも、その世代も既に70歳前後の老人となりました。ツアー会社の方に提案です。体力的にも他のツアーと較べ比較的楽に移動できる船旅をもっと提案しては如何でしょう。そろそろ贅沢は兎も角として、時間と心に余裕がある人達の仲間入りをしたいものです。
今の日本を築き上げた団塊の世代の人々の為に、ゆったりと過ごせる船の旅を提供してほしいと。

海外からのお客さんに学びましょう。

◎今、瀬戸内海のフェリーは大別して2種類に分けられます。先ず、夜しか運航していない阪神、九州間のホテル替わりとしての大型フェリー、もう一つは中四国を中心とした1000総トンクラスの小型の船、2時間前後の航海でキャビンを備えていない椅子席を中心としたフェリーです。

そして今、瀬戸内海の多島美を提供できるのは昼間の航路を中心とした新しいコンセプトの後述の船なのです。今回進水した船はそんな諸外国の方々のニーズを取り込んだとも言えるでしょう。
この2種類の異なったコンセプトのフェリー、これらを合体し、それぞれの魅力を兼ね備えたクルーズフェリーの出現が待たれます。
広島、愛媛間の航路と、小豆島、塩飽諸島を中心とした岡山、香川県の航路、この二つを合体して中四国航路が出来れば良いのです。船は当然、宿泊型が要求されるでしょう。

かなりの昔、阪神、別府航路の昼行客船が有りました。ハネムーンのメッカとして君臨していた時代です。今、形を変えて新しい概念のもと、船会社さんにはそのような企画の船を創造して頂きたいと切に願っています。

◎最後に、進水式後の画像を一枚。

見学者は、既に帰り始めています。右側にシーパセオの船体がありました。その正面にある巨大な構造物、これは既に完成している船のブリッジと居住区のブロックです。画面左の第2船台で建造中の貨物船の部品で、船体よりも先に出来ていると言う事になります。

ブロック工法って、凄いなあと思いませんか?

左側に少し見えているのがその貨物船の船首部分です。既に船台に乗っています。


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