西条酒蔵ガイド ほろ酔い日記1

西条酒蔵ボランティアガイドのつぶやき、1回目です。
日曜日、大型の五月連休が終わって間もない時期でしたが西条駅前発の酒蔵ボランティアガイドをしました。皆さん、連休の後でお疲れになったのでしょうか、お客さんは少なく七十過ぎの男性の方一人丈です。半年前に茨城県から仕事の関係でこちらに引っ越してこられて、今は東広島を勉強中との事でした。

 

先にスケッチを一枚入れておきます。
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賀茂鶴酒造前の石畳の道です。 背景には最近できた大きなマンションが有りますが、省きました。

 

さて、ガイドは基本的に、6カ所の酒蔵を巡ります。JR西条駅から東側650メートル程の範囲に酒蔵が軒先を寄せあうように密集している区域になります。西側にもう一カ所有りますが1時間半のガイドと言う制約内では行くことが出来ません。

どれくらい密集しているかと言うと、異なる会社の蔵と蔵との間の塀が繋がっていて境界が分からない、そんな所もあるんです。


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この画像には三つの酒蔵がひしめいています。左から白牡丹、賀茂鶴 そして西条鶴です。

 

先日、広島大学でボランティアガイドの研修が有りました。テーマはエコミュージアム、箱物である美術館等に頼ることなく地域を、住んでいる人を含めて丸ごと美術館にしてしまおう、と言う発想です。
そして、この酒蔵が密集した西条酒蔵通りは正にそれなんですね。12基の赤煉瓦の煙突も現存しています。過去にはさらに多数の煙突が有ったそうですが、当時は酒蔵そのものが観光資源として認識されておらず、保存しようと言う発想は無かった様です。
この地に住んで30年以上になりますが、数年前より、酒蔵ボランティアガイドの仲間に入れていただき、又色々な研修を通して観光資源につき教わりました。 少し遅かったような気もしますが、おかげさまでやっと今頃観光地としての魅力に覚醒しました。

 

さて、1人の方をガイドすると言うのは多人数と較べて楽でもあり、他方難しくもあります。
今回は男性で、しかも好奇心の旺盛な方だったのでこちらの説明にも熱心に耳を傾けていただきました。途中、亀齢酒造と福美人酒造の軒が接しているところがあります。ぱっと見ではクロスしている。高さが同じだったら当たっていそうな感じ。
「わあ、これ違う会社なんですね、へえ、仲が良いんですね」と、感心しておられました。
「いや、お互い競争相手なのでそんな事はないと思いますが、まあ、長い歴史の中では色々なことが有ったと思いますよ、」と答えておきました。
西条酒蔵ガイドのスローガンは、生きている蔵、そしてコンパクトな町となっています。


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これは白牡丹酒造本社です。右側は天保蔵で江戸時代の後期に出来た蔵です。

先ほどの画像の、道路を挟んで向かい側の景色になります。


実は昨年の秋にも、お客さんが一人丈で、それも若い女性の方、と言う事がありました。
ガイドするに当たり最初にお聞きすることが有ります。
「日本酒は飲まれますか」です。大体は好きです、とか興味がある、との答えを頂きますがその方は 「私、日本酒には全く興味がないんです」と笑いながら答えられたんです。どうしてガイドに参加されたんですか、と聞いたところ 「観光案内所の方に勧められて、何となく、」と言う答えでした。どうも、歴史にも興味が無い。これはガイドをしていると直ぐに分かります。殆どこちらの話す内容は日本酒、そして酒蔵通りや東広島市の歴史に関してなのですから。
「日本酒が好きになるよう、歴史に興味が出るよう、努力してガイドをさせていただきます。」
途中、何度もそう言ってガイドを最後まで続けました。
その結果として今、あの方が少しでもお酒や、酒蔵通りに関心を持つようになってくれていたら、と思います。もしそうならガイド冥利に尽きるのですが。
ガイドは、色々なシチュエーションに対応しなければなりません。

終わり