広島の居蔵造りの家

居蔵造りの家、知ってますか?

東広島、加茂台地の居蔵造りの家
この様な和風の民家は日本何処にでも有ると思っていました。でも実はそうで無かったんです。
先ず、絵を見てください。これは居蔵(いぐら)造りと言ってこの加茂台地に古くから伝わる日本建築の家です。西条瓦の赤と相まって東広島市、西条を中心とした風物詩を醸し出しています。


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この地に移り住んで40年近くなりますが、この居蔵造りについて知ったのは今年の初め、ボランティアガイド研修の席上でした。講師の方より西条瓦のくだりで、居蔵造りの家の存在についての講習を受けました。

この研修を受ける前の事です。
酒蔵ボランティアガイドの途中、西条瓦の説明をする場所が有ります。お客さんから、特にJRで来られた方が多いようですが「車窓からの群れを成して存在するこの赤い屋根の家々が印象的だった」との言葉を頂戴したことが何度かありました。
あれは、瓦の色丈では無く建物のデザイン全体について言われていたのかなあ、と今は思います。
次回からは、西条瓦ガイドのくだりでは、居蔵造りとの関連性も話してみたいと思っています。
尚、西条瓦ですが、この加茂台地に江戸時代からある石州瓦(島根県)の流れを汲む赤瓦です。気温の変化による瓦の割れに対して強いそうです。
元に戻ります。居蔵造りの家、一見2階建てに見えますが実は原形は平屋なのです。


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上図で、大屋根と下屋根の間、口開き(くちあき)と言いますが、黒い井桁で囲まれた白壁の部分にはほとんど窓が有りませんね。それに他の2階建てと較べると少し高さが低くなっているのが分かります。この構造の家は夏など、団扇も要らないくらい空気の流れが良いと言われています。

最近は、口開きの部分を高くして窓を設け2階建てにした家が増えてきました。

下図の家は、口開きの部分をかさ上げして窓を設け、2階建てとなっています。


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歴史文化を伝えると言う立場から言うと、統一性が失われてきているとも言えます。しかし、居蔵造りの家は観光用では無く、実際に人が住んでいる訳ですから致し方ないのでしょう。 
“不易流行”と言います。どんなに古い価値のあるものでも、時代に合わせて変化していかねばならないと言う事でしょうか。

 

先日、実際にJR山陽本線の車窓から確認してみました。確かに東広島市の西条から東西数駅の間には、居蔵造りの群落が集中しています。

この画像は西条駅から少し東に行ったところのものです。
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そして離れて行くにつれ、やがて群落が少なくなり、更に一軒家が点在となっていく訳です。勿論、家のデザインは個人の好みなので、日本どこに行ってもこの形の家はあるかも知れません。

最後に蛇足ですが、この地で生まれ育った方は恐らくこの居蔵造りをご存知だと思います。実際、友人で居蔵造りの家に住んでいる方も居られるわけです。
でも人生の途中に他所から移り住んだ自分のような者は案外知らないのかなあ、とも思いました。少なくとも歴史や和風建築に興味がない方はご存じないでしょうね。

色々と勉強させていただいております。

 

尚、居蔵造りと言う呼称の家は日本を見渡すと他の地域、九州などにもあるそうです。勿論様式は異なりますが、、。あしからず、です。